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けむりの向こう

「食後の葉巻はいかがで?」




執事が盆に載せた木箱を開く




「Uno Panama だね」




吸い口を切り火を点ける






まわっぽわっ






ある女を不意に思い出したのは



香りのせいか






栗色の髪に黒い瞳



胸元を彩る真紅のレース





「明日は船にお乗りになるのね」



「そうです」



「お見送りはいたさないことよ」





その国での私の仕事は終わった



彼女の父親を結果として投獄する羽目になったが



彼女は変わらず私を愛してくれていた





「一緒に私の故国に行きませんか?」



私の問いに微笑みながら



「お国には大事な方がいらっしゃるくせに」



私も肯いた








そして今私の吐き出す煙の向こうに座っているのは



私の罪を裁きに来た夜の天使ではないのか?







執事がにやりと笑った気がした
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1. けむりの向こうに

謹賀新年

新しい年が
明けましたね


けむりの向こうに
芳醇なミステリの
味わい
ご馳走さま
素敵でございます


けむりの向こう
こちらも
記憶のなかにある
ひとつの場面が
見えてまいりました

(実話)
数年前まで存在した
老舗喫茶店
マスターの
“煙草教室”の一場です

当時、小生は既に卒煙しておりましたですが

マスター曰く

“この煙草はね ワインの薫りがするんだよ”
“こっちのはね 身体にいい葉っぱで出来てる煙草だよ”


誘われるままに

ぷか~

マスターと一緒に
流れるシャンソンに揺られながら

もく
もく
もく

ぷか
ぷか
ぷか~

隠れ家風の老舗喫茶店の中は
いくつもの洋燈の灯りで
やわらかい琥珀色に染まり
壁には
キリシタンたちが踏んだイコンや
火縄銃などの骨董品が
たくさん

マスターは
テーブルマジックがお得意
若いころ戦争へ行き
“仲間はみんな死んだよ
自分は生き残った
あとの人生は好きなことをやり
楽しく生きようと思った”
と お話しくださったのは
またべつの日でした


けむりの向こう
琥珀色の
思い出


本年も
ひとつよろしく
お願い申しあげます候

2. :けむりの向こうにと書きましたが

>ブルカニロの窓さん

退屈な街に暮らしていても

ふとした時に迷い込んだ路地に

彼の地が現出したかのような

心地になることがありますね


煙そのもののような人生


あなたの書かれる物語は

私の脳髄にささった

一本の電極なのです


こちらこそのお願いです

どうぞよろしく

3. けむりに

>ちゃぼさん

ちゃぼさまの作品に、インスパイアされ、芳醇なひとときを過ごさせていただいています。

そのような素敵な作品のコメント欄に、長々と思い出話を書き込んだりしまして、反省しています。

わたしがブログに綴っているものは、手にした本や出逢った映画などから心に残った部分を、架空の人物の言葉に混ぜたりしたりして、徒然に書いている拙いものです。
ちゃぼさまのお言葉はもったいのうございます。

もう少し見聞に励む暮らしをしたいものですが、日々はたいてい、けむりのよう。

けむりのようになるのを望みはじめたのは、いつ頃からだったのか・・・

けむりよりは形があるものになりたいという意識に翻弄されていたころは、
今よりも苦しかったと思います。


けむりが、目指しているものに気づかせてくれたのでしょう 。

こちらこそ、ありがとうございます。

ちゃぼさまの作品

いつも楽しみにしております。


冬眠けむり拝

4. いつかけむりに

>ブルカニロの窓さん

いえいえ

ここにこそ書き込むべき

記憶だったのだと思いますよ


それにあなたのかいていらっしゃる物語こそ

一人密かにこする魔法のランプ

拙さなど微塵も感じておりません


立ち上る色と香りこれからも楽しみましょう
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